
▲一見すると何の変化も見られないように感じる宮浦ヤード・・・
7月11日(土)携帯にて撮影(以下も同じ)
宮浦ヤード、機関庫が豪雨により浸水被害・・・
去る7月6日(月)に大牟田市を襲った豪雨によって、炭鉱電車も多大な被害を受けました。豪雨後5日後の7月11日(月)に現地を訪れましたので、ここに報告を致します。なお、今日(7/25)現在においても一部の電車の被災状況の詳細は不明であることを付け加えておきます。
まずは、宮浦ヤードの状況です。写真では少しわかりにくいですが、ヤードを囲むフェンスがおおよそ20mほどに渡って横倒しになっています。宮浦駅南側でヤード下を横切っていた大牟田川が氾濫し、相当な勢いをもってヤードを囲むフェンスに激突したと思われます。(写真右手奥で大牟田川がヤードを横切っている) 一部線路の道床のバラストも流されており、フェンスも根本からなぎ倒されている状況です。当日の状況を聞いた所、ヤードが川のようになってあふれた水が流れていたとのことでした。なお、宮浦駅舎前の市道は現在も通行禁止となっておりますので、西側の宮浦石炭記念公園側から俯瞰しての報告となっていることを申し添えておきます。

▲写真にあるポイントも冠水し電動での操作不能(手動にて可)
つづいて機関庫方面ですが、まずは機関庫横の三坑町3号踏切の様子からお伝えします。七浦方面から、かつての専用鉄道線路敷きに沿って大牟田川が流れていますが、この踏切の直ぐ脇を大牟田川が流れています。もちろん、ここでも大牟田川が氾濫し、閉じてあったヤードゲートの中央留め金台座部分をなぎ倒している状況です。ここでも道床がえぐられ、一部バラストが流失しています。フェンス脇を見ると、流された木ぎれが付着していますが、当時の浸水状況をかいま見ることができます。この場所での水深は優に5,60cmは越えていたと思われます。一部踏切内のアスファルトが剥がれ散乱していました。水流の激しさを物語っています。

▲幸い、線路のゆがみなどの大きな被害は無い模様です・・・
もう一枚、上の写真の右側のフェンスの状態です。ここにも木ぎれが付着していて、当時の様子を物語っています。ヤードゲートの支柱部分に影響はなく、現在は閉じられた状態となっています。写真右手の市道は、フェンス倒壊のためにこの先通行禁止となっています。

▲フェンスにビッシリと細かい木ぎれなどが張り付いている・・・
機関庫脇を見てみましょう。機関庫まわりのフェンスにも、同様に木ぎれなどが付着しています。その高さから判断すると、車庫内の電車もかなり高さまで冠水したと思われます。電車には、20t機で2個、45t機で4個の主電動機(モーター)が取り付けられていますが、残念ながらそこまで水没した可能性が大きいと思われます。水害時には、機関庫内には20t機の9号と12号、45t機の18号がいました。電車と共に庫内の諸設備、部品なども被害を受けたと思われます。もちろん、ピット内には水が溜まり、水が引いた後も排水が必要であったことでしょう。モーターが水没したと仮定すると、取り外しての整備作業が必要ですので、それなりの日数(数ヶ月?)がかかることになることが予想されます。さもなくば、全車とも修理されることなく廃車となる可能性もあります。

▲ここでもフェンスにビッシリと細かい木ぎれなどが張り付く・・・
豪雨被害後、今日現在までに三井化学より被害状況等に関した公式発表はありませんが、9月末に予定されていたラストランのイベントに大きな影響が出ることは確実な状況と思われます。宮浦駅舎前の20t11号と45t19号の冠水状況は、機関庫よりは幾分か水かさも低かったと思われますので、少しの期待がもてるかもしれません。TOPの写真などから見る限りは、影響は無さそうにも思えますが、未だその詳細な被害状況は不明です。願わくば、この2両の電車の被害が少なく、動ける状態であることを願わずにはおれません。
先にも報告していたように、5月7日の最終運行後も、4両(車軸にヒビが見つかっている9号を除く)の電車が稼働できる状態を維持されていた炭鉱電車です。9月のラストランイベント時には、これらの電車達の動く姿を目にすることができることになるはずでした。新型コロナウイルス感染拡大の影響によって一度は延期を余儀なくされたラストランイベント・・・。ここに来て、新たな試練が炭鉱電車にかせられることになってしまいました。電車の詳細な状況が不明な中ですが、ラストランのイベントは予定通り開催され、1両だけでもいいので豪雨災害から立ち直った炭鉱電車の動く姿を目にしたいと願います。炭鉱電車の甦った姿が、豪雨災害に遭われた大牟田市民の方々にも希望を与えることになるのではないかと信じます。

追伸:今後も、詳細な状況が分かり次第お伝えしたいと思います。また、炭鉱電車保存会としては、少しでも可能性がある限り、炭鉱電車の動態保存をめざして活動を継続していく所存です。