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  ▲三池港 閘門の景
 
  撮影地 : 大牟田市 三池港
  撮影日 : 2011.3.27 

 
   稼働遺産も世界遺産に ◇九州・山口の近代化遺産群◇三池港
 
政府は30日、稼働中の工場などを含む「産業遺産」を国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に推薦する際、国が文化財に指定していない場合でも推薦できるよう、条件を緩和する方針を決めた。文化財保護法で現状変更が原則禁止されるなどの規制に難色を示す所有企業に配慮し、推薦への同意を得やすくするのが狙い
 
1/30付 西日本新聞HP記事より ⇒ http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/284713
 


 
稼働遺産も世界遺産に・・・
 
「九州・山口の近代化遺産群」の世界遺産登録に向け、大きな一歩が踏み出されたことになると思います。
 
三池炭鉱がその構成の一部となっている「九州・山口の近代化遺産群」の世界遺産登録への取組で、ネックの一つになっていた稼働遺産について昨日政府見解が出されました。その内容は、内閣府行政刷新会議の「規制・制度改革に関する分科会」において検討が行われてきたもので、「農林・地域活性化分野」中の「稼働中の産業遺産の世界遺産への登録」と題した改革案がそれに該当するものです。
 
これまでの日本における世界遺産登録の申請は、文化財保護法において指定・選定されたものに限られていました。しかし、今回の改革にて、稼働中の産業遺産については「文化財保護法による文化財指定ではなく、景観法や港湾法による規制もしくは自治体の条例、企業側との協定など、建物・設備の改修や移動を厳しく縛らないルールで遺産保全を図る」という方針が出されたのです。
*「 」は、先の西日本新聞記事より引用
 
 
当ブログでは、『三池築港百話』にて三池港築港の歴史を連載しておりますが、三池港では明治時代の施設が今なお現役で稼働していることに驚きと感動を覚えます。今回お知らせした報道内容は、「九州・山口の近代化遺産群」の世界遺産登録に向け、大きな弾みとなることは間違いありません。
 
今後の推移についても目が離せない状況ですね。
 


 
◆参考までに、公開されている内閣府行政刷新会議の「規制・制度改革検討シート(案)」には、以下のように記述されています。(抜粋)  *赤文字は管理人による
 
「稼働中の産業遺産の世界遺産への登録」
 
(1)改革の方向性(当初案)
○我が国における世界遺産登録の申請は、文化財保護法において指定・選定されたものに限られている。九州・山口の近代化産業遺産群をはじめとする稼働中の産業遺産に関して、港湾法等により産業遺産としての価値を将来に渡って保護する仕組みや文化財保護法以外での世界遺産登録について、検討すべきである。
 
(2)担当府省の解答(文部科学省)
○稼働中の資産の価値を将来にわたって保護する仕組みについては、このような世界遺産に係る近年の動向等も踏まえて、個々の資産に係る世界遺産の登録申請に向けた取組の中で、文化財保護法による指定・選定以外の方法も含めて、検討が行われるものと考える。
 
(3)担当府省の解答(国土交通省)
○九州・山口の近代化遺産において文化財保護法に基づく価値保全は日々の経済活動の妨げになるだけでなく、産業遺産の価値を壊す場合もあるとの指摘がある。例えば、三池港の場合は工業港として稼働することが一番の価値保全であり、文化財保護法は稼働中の工業港としての価値保全になじまないとされている。
○九州・山口近代化遺産群世界遺産登録推進協議会(以下、協議会)において、産業遺産を文化
財保護法以外の法体系によって保全を行い、世界遺産に登録するための取り組みが行われている。このため、協議会の提案を受けて、個別の産業遺産(例えば三池港)を対象に文化財保護法以外の法令による保全方策に関する検討を行う。
 
(4)改革事項に対する基本的な考え方
我が国における世界遺産の前提となっている文化財保護法では、産業遺産のように利用・活用され、産業技術の進展とともに、修繕等を行いながら、その機能を維持する必要があるものには適さない。
諸外国では、文化財保護法のみならず、港湾法・鉄道法・都市計画法などの関連を活用して、稼働中の産業遺産の保存管理を行っている。
○我が国において、産業遺産の世界遺産認定に向けて実質的な枠組みがないのが実情であり、稼働中の産業遺産とその周辺の区域について、港湾法等の文化庁以外の省庁管轄の法制度を含め、新たな枠組みの構築に向けて検討されるべきである。
九州・山口地域において、稼働中の産業遺産を含む近代化産業遺産群の世界遺産登録を目指す活動が活発に行われており、(「国民の声」要望意見も多数あり)、政府として、速やかに検討を行い、早期に結論を出す必要性は大。
 
(5)改革案
稼働中の産業遺産に関して、世界遺産登録推薦のプロセスを構築することについて、関係府省
会議や有識者会議の設置を含め、関係府省が一体となって検討を行うとともに、国土交通省等関係府省は、文化財保護法以外の法令による保全方策について速やかに検討を開始し、できる限り早期に結論を得るべきである。
【平成22 年度中に検討を開始し、平成23 年度中できる限り早期に結論】
 


 
 
 
【参考HP】
 
▼九州・山口の産業遺産群
 
▼内閣府>行政刷新
 
▼文化庁>世界遺産暫定一覧表追加記載のための審査基準
 
▼西日本新聞2011.12/17付 朝刊記事