◆三池炭鉱 〈明治22年〉 年譜抄録
1889(明治22)年 1月 1日 当分の内総て従前三池鉱山局在職中の振合を以て従事すべき旨払受人 代理團琢磨の名を以て一般職員に通告を発す1月 3日 政府より22年1月1日の現形を以て三池炭山払受人に炭山の営業権其他 附属一切の引き渡しを終了す
1月 4日 三池鉱山分局より譲受終了し「三池炭礦社」と称す
1月15日 大浦坑内に初めて沼気ガスを発見す
1月19日 稟議に依り初めて坑夫、職工、日雇を小頭級の職員に昇格す
1月 職工規則を設けて契約年限、契約満期賞与(慰労手当)積立金取扱方を定 む
2月21日 勝立坑開鑿中第三横坑の北部水脈に当り水量400立方呎に増加す 3月9日木栓ヲ打チテ防水ス
3月 8日 職工見習採用規則を設く
3月25日 三池炭礦社事務長に團琢磨就任す
三池炭礦社事務章程仮規則を定む
事務長、理事、事務員(1等-3等)傭員(1等-10等)等外傭員を置き事務 長以下10等傭員迄を役員と総称す
3月 始めて医療設備をなす
医師田島正実内科担任として就任
宮浦坑内に初めて水筒7吋のスペシヤル喞筒を据付く
4月 1日 北田佐平次他数名と坑夫募集契約を結ぶ
4月 大牟田村、下里村、稲荷村、横須村の4箇村合併して大牟田町誕生す
4月 各坑所属の修繕工場(勝立坑を除く)を製作科ヘ合併し各工を製作科の出 張所と改称す
4月 初メテ平家建坑夫長屋ヲ新築ス
5月12日 龍湖瀬坑の採炭に着手す(6月26日中止)
5月 三池炭礦社事務章程を制定す
旅費規則を制定す
役員退勤扶助金規則を制定す
役員死傷手当金規則を制定す
役員疾病及私用暇願規則を制定す
旅費規則を制定す
社中宿直規則を制定す
6月 1日 三井銀行本店及長崎出張店との間に27年5月31日まで利附預ケ金をな すに付契約す(24.7.1赤間関出張店を加ふ)
6月 三井銀行本店との契約に依り三井銀行三池出張所より同行員2名、三池炭 礦社に出張し事務を執る
6月12日 稲荷坑採炭を開始す
6月15日 坑外馬丁に帽子、襦袢、腹カケ、足袋を支給す
6月21日 大浦宮浦間直通電話を架設す
7月28日 熊本地方一帯に大地震あり三池にも波及す
大地震の為め各坑増水し七浦坑水害を起し宮浦坑より送水を止め宮浦坑 は同坑外ヘ揚水す
開鑿中の勝立坑出水激増し遂に竪坑水没開鑿を中止す
大浦坑は遂に水車排水を止め切羽16ケ所水没す
7月29日 地震と連日降雨とのため開鑿中の勝立坑水没し七浦、宮浦大浦、各坑水 害を蒙る
8月 賜暇休日規則を制定す
賃金支払を月3回とす
10月30日 総務部に坑夫養成事務掛を設く
11月 福岡県三池監獄廃止となる
12月 3日 坑夫奨励規則を設く
12月 6日 賜暇休日規則を廃し休日規則を定む
12月18日 三池炭礦鉱社坑夫取扱規則を制定す
坑夫死傷救恤規則を制定す
三池炭礦社付属買物店規則を設く
不明 独逸ハンブルグ大博覧会に初めて三池石炭を出品す 営業科目を制定す